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ユーキは唖然としているが、それ以上に俺もビックリや。
おいおい!さっきの会話の流れやったら、おまえが一緒に行かなあかんやろう!
そう思いはしたが、きっとマリカ的に考えがあっての行動やろうとも長年の経験からわかるので。
「えっと、ほんまに下のカフェのコーヒー美味しいんで、少しだけ行きましょう?」
俺はたぶん困った笑顔になってるやろうなと思いながらも、つとめて笑顔でそう誘うと、ユーキはクスリと小さく笑みをこぼした。
「五木さんって面白いですね」
ユーキの微かな笑顔を見ながら、案外、この子はまともかもしれないと感じた。コミュ症気味やとは思うけど、根はきっと素直。
俺はマリカの当たり障りのない話をしながら、階段を降りてカフェに入った。対応に出てきた店員に奥のスペースに案内してもらい、『スペシャルアイス珈琲』を二つ注文した。
「注文した後で今更やけど、甘いもん平気やった?」
俺の質問にユーキは「あまり食べないけれど平気です」と元の無表情に戻って答える。
ただでさえ、他人と長時間話すことに慣れていなくて疲れてるやろうし、こういうときに質問責めしてしまうと、心の壁を作られやすいと思い、俺は質問ではなく、マリカや自分の話をゆっくり話した。
ユーキは視線は下の方やったけど、ちゃんと相づちを打ちながら俺の話を聞いてくれる。面白い話のときはうつ向きながらも笑ってくれた。
そうこうしていると、店員が注文の品を持ってきた。
ユーキは目の前に置かれた背の高いグラスを興味深げに眺める。
「コーヒーを注文したのに、どうして甘いものが平気かと聞かれたのかわからなかったんですけど、こういう意味だったんですね」
背の高いグラスの中には、カップ一杯分ほどのバニラアイスが氷のように入れられており、その横には冷えたブラックコーヒーが入ったポット。
ユーキは俺の真似をしながら慣れない手つきで、グラスの中にコーヒーを注ぐ。
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