STORY 《Ⅰ》-two-ユーキver.

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今日は金曜日。 私は昨日、少しだけ夜更かしをしてしまっていたので、起床は朝9時。厚いカーテンにより遮られていた朝の光を取り入れるべく、ベッドから起き上がるとすぐにカーテンを開けた。 「今日も良い天気」 眩しすぎる光は夏を感じさせる。8月。家庭教師を雇ってから約4ヶ月がたっていた。 私は洗顔と歯磨きをした後、冷凍ごはんをレンジに入れ、豆腐と乾燥ワカメを取り出して味噌汁の準備、鮭を冷蔵庫から出してグリルに入れる。 出来上がったのは簡単和風の朝ごはん。小さなテーブルに座り、いただく。 そして、ふと。 私の日常がガラリと変わった3ヶ月前を思い出した。 ただ生きる為だけに生きていたあの頃。こうやって朝ごはんを手作りして、余裕を持って食べることなどほとんどなく。 料理を教えてくれる身近な人がいなかったこともあり、料理は苦手だった。それにひとり分のごはんを作るには食材を効率的に使わないと割高になってしまうので、自然、安いコンビニご飯ばかりだった。 エアコンから涼しい風が流れてくる。このエアコンも3ヶ月前に買ったものだ。 冷凍ごはんを解凍したレンジも、鍋などの調理用具も。 生きていくうえで、それらは必要不可欠ではなかったから。夏場は暑く、冬場は寒い。でも、ただ寝に帰ってくるだけなら耐えることができる。耐えれない程の場合は早めに職場に行ったり、ショッピングセンターに行ったりしてしのいでいた。 朝ごはんを食べ終わった私は、洗濯機を回し、軽く掃除をしてから、シャワーを浴びる。 私の今の日常。 日曜日から火曜日まではフルタイムで仕事。 水曜日から金曜日までは家庭教師の日だ。
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