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そして、私の家の最寄り駅に着くと、コンビニで少しのお酒と缶詰めやおつまみ、お茶などを購入して、私の家へ。
「お邪魔します。ユーキん家、久しぶりやなぁ。ちょっとは女の子らしい部屋になっとるんか?」
彼の軽口に途端に私は恥ずかしくなる。彼の助言で電化製品を購入した3ヶ月前。彼が訪れたときは本当に殺風景な部屋で。
その後から何となく自分が気に入った感じに雑貨や家具などを買って配置してみたけれど、やっぱりシンプルな部屋ではあったから。
「おおぉ。前とは格段に変わっとるやん。これ、全部ユーキが考えたん?」
私の家は1DK。キッチンも部屋も割りと広めなので、キッチンには二人用の小さな木製の食事テーブルと椅子。
部屋には窓の傍にシングルのベッド。その前に衝立を置いている。
後の家具は二人用のソファーと少し高めのテーブル。ソファーに座りながらの勉強などがしやすい高さのもの。そして勉強道具一式を格納したキャスター付きの小さな棚だけ。
「家具の雰囲気を揃えとるからシンプルやけど、ユーキの雰囲気に合ってて落ち着ける部屋になっとるわ」
私はマイクにソファーを勧めて、自分は脚立代わりに使用している低めの椅子に座った。
再度の乾杯をして、しばらく雑談していると、思い出したかのようにマイクはタブレットを取り出したので、私はカメラからSDカードを取り出して渡した。
「うん、最初のヤツに比べたら格段にええ写真になってるなぁ」
植物園にいた時同様、一枚ずつ丁寧に見ていき、それぞれ感想や荒い点などを説明していくマイク。
次々と写真を見ている中、彼の指がタブレットをフリックした瞬間、「う」と「わ」が混ざったうめき声。マイクは口を片手で押さえている。
口元が隠れているのでわかりづらかったけれど、はにかんでいるようにも、恥ずかしがっているようにも、嬉しがっているようにも、見えた。
どうしたのかな?と思ってタブレットを見ると、そこには真剣な表情をたたえたマイクの横顔。夕方の柔らかい光が優しい陰影を作っているので笑顔がない割には硬い写真になっておらず、彼の真面目で優しい内面が表れているよう。
あ、良い感じに撮れていると思った反面。
隠し撮りをしていたことがバレてしまったので、頬が熱くなる。
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