STORY 《Ⅰ》-two-ユーキver.

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いつもならどんな状況だろうと、軽快で明るい口調で話し出す彼が珍しく、言葉を紡げずにいる。 とりあえず何かしらの弁明をしようと思い、マイクを撮ってみたい衝動に駆られて撮ってしまったこと。マナー違反なので消そうとしたけれど消したくなかったことを小さな声で説明した。 マイクは「いやいやいや……あかんって、ユーキ、これは不意討ちすぎるわ」と更にうなだれてしまったので、私は慌てた。 そんなに彼が落ち込んでしまうことだったのか、とオロオロしていると。 「違うねん。怒ってる訳でも落ち込んでる訳でもない。まぁ、照れてはいるけど……」 そう言って、あまり見たことがない可愛い笑顔を浮かべた。 今日はマイクの色んな表情を発見している。彼は強くて明るくて物事をハッキリと判断する術を持っていて、迷いなく生きているように感じていた。 凄く尊敬しているのだけど、やはり、その強さが遠い雲の上のような存在にも思えて。 私とは違う人間。光溢れる場所にいて、眩しくて直視できなくて触れあえない。 そんな感覚も抱いていて。 でも、彼にも弱い部分があり、動揺する部分もあり、私と同じ『人』なんだと素直に感じた。 「あまり写真撮られたりすることないから照れてまうけど、なんか嬉しい。ユーキは俺のことをこんな優しい目線で見てくれているんやなって」 彼の言葉で、植物園で考えていた内容が脳裏に甦る。 母が高二で亡くなって、気難しい祖母と同居するようになってから、色々な『モノ』の興味や執着を無くしていった。考えないように想いを抱かないように。 今はそれが『自衛手段』だったんだと理解できる。
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