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俺の決意を話すと、マリカははホッとしつつも、微妙な表情を浮かべた。
「ほんまにええねんな?っていうか……ほんまにあんたはここぞというトコでヘマするなぁ。ほんまにアホやろ?」
「そんなん……俺が一番痛感しとるわ!」
俺の強がりの笑顔を見てマリカはまた呆れた表情。
「田中様はまだ不完全な精神力で、無我夢中の状態や。そんな状態で恋愛関係になんか発展したら『依存』させてまうし、あんたは受け入れることができひん状態や。今のあんたができるんは『ちゃんと失恋させること』でも、今はまだあかん。やっと人を信頼することができるようになったところや。マイク以外の友人ができるまで、あんたは今まで通り、付かず離れずで余計なことせずにいるんやで」
「……了解」
短く返事をして目を閉じた俺にマリカは珍しく優しい声音でこう語りだした。
「人が良い方向に変わっていく過程は愛しく感じてまうもんやし、それでも今までのあんたは恋愛感情を抱くことなく送り出してきた。それだけ田中様は『特別』なんや。あんなに負のオーラを出していたのに瞳と笑顔がほんまにキレイやったもんなぁ。客観的に人を見定める癖がついてるうちでも……助けたいって思ってもうたんやから」
やはりマリカもユーキの笑顔の威力に気付いていたか。
「でも、これからが大変やで。あんなに顔が整ってるのに男関係でモメてへんかったんは、あの暗い雰囲気のおかげや。これから彼女の魅力は周りに伝わっていく……マイク、辛いやろうけど、次のステップに進めるようにしてあげなあかんで」
俺はぐっと歯を食い縛りながら、頷いた。
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