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ーーじゃあ、あげる。
「遠慮なくいただくよ」
そう答えると同時に僕の体が急に重くなった。何かがのりうつったのか?チッと僕は舌打ちをした。ほかの人に見えないものが僕に見えるのなら大いに喜ぶが、憑依されるとなれば話は別。
「君、殺すよ?」
見えないソレに僕は言い放った。心なしか体が軽くなった。
「で、君は僕に何をプレゼントしたのかな」
肩に手をやり、首を左右に動かすとポキポキと骨が鳴った。中性的な声から返答はなかった。
「僕の妄想癖も重症だね」
やれやれ、と目を閉じながらかぶりを振ったとき、瞼の向こうに一瞬女の姿があった。
目を開けるとそれは見えず、目を閉じても暗闇が支配し、女の姿を確認することはできなかった。一秒にも満たない刹那、その女の姿は脳裏に刻まれた。
わずかに口元に笑みをこぼしたしたり顔は何を意味するのだろう。僕は久方ぶりの高揚を味わいながら家路についた。
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