つくばの楽しみ1

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 待つこと20分、もう待つのは限界だと思ったとき、「鰺フライ、お待たせ。」大きな鰺フライが、3匹湯気を立てている。てんこ盛りのキャベツ、大盛りのご飯と豚汁、おひたしにお漬物。見ているだけでもおなかがいっぱいになりそうだ。ソースをかけて鰺フライを一口。サクサク、ジュワーの感触とジューシーな鰺の身が口いっぱいに広がり、泳いでいる。開きにした鰺の腹にしその葉を乗せているので、絶妙に香りと味がマッチしている。これだけ食べて、千円札で十分おつりがくる。食べ終わって、店を出て行くみんなの顔は満足感に溢れている。毎日この食事だと一ヶ月の間に痩せることはない。痩せるどころか太って家に帰ることになるかも。それはまずい。普通一ヶ月以上の単身赴任の出張ではしんどくて辛くて痩せてしまうのではないか。家に帰れば、家内にとても楽な出張だったんだと疑われていまいそうだ。毎日来るのはやめよう。各日にしよう。心の中で葛藤が 始まる。  おなかがいっぱいになり、店を出た後、誰かがパの字を出したので4人でパチンコ屋さんまで腹ごなしをかねて散歩と偵察に。店で流れる音楽に闘志がわいてくる。ぐるっと見渡せば、さっきコロッケ定食を頬張っていた人の姿も。店の雰囲気を観察している間に、和歌山人の3人はもう既に打ち始めている。 「ええっ。負けたらあかん。」闘争心に火がつき始め、台に向かって一直線。  今日は、資金も時間もあるので余裕を持って遊べる。余裕のあるときほど運は回ってくるもので三千円の投入でフィーバー。心はウキウキ、海物語でマリンちゃんが現れて確変だ。ルンルン気分でドル箱を重ねていくと後ろから2人の和歌山人が、 「お先に帰るよ、頑張って。本田さんも勝ってるよ。また、明日。」 「失礼します。」片手を振りながら、 「本田さんって誰だったかなあ?」     
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