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(金曜の夜、樹の実家)
充「柊くん、この日本酒、最高だろ?気に入ってもらえたみたいで嬉しいよ。…もう少しどう?」
柊「本当に美味しいお酒ですね。なんだか止まらない……じゃ、もう少し」
樹「父さん、飲ませ過ぎです。もうその辺にしておいてください」
充「ん、そんなことないだろ?まだ少しも変わってないようだが?
それより柊くん、最近、悩み事などはないかな?仕事の悩みでもプライベートでも、あれば話してくれ。私にできることは何でもするから」
柊「ほんとですか?
んー…ひとつだけあります……
お父さん……どうして、男には子供が産めないんでしょう……」
充・樹「…………」
柊「俺、樹さんとなら、何人でも欲しいんです。
なのに…こればっかりはどうにもならなくて……(グスッと涙目になる)」
充「……おい樹。
こういう悩みを柊くんから聞いたことはあるのか?」
樹「……いや、初めてです……まさかそんな……」
充「(樹をぐっと睨む)……柊くんの願い、ちゃんと聞いてやれよ」
樹「えっ…………」
充「(柊の肩を抱き寄せる)柊くん、君の気持ちはよくわかるぞ!……そうだ麗子!昔、樹の出産の時に買ってやった安産のお守り、まだあるか?」
麗子「ええ、ちゃんとあるわよ!(部屋から持ってきて柊に渡す)はいこれ!すごくよく効くのよー柊くん♪♪」
柊「ありがとうございます……うう……(じわっと泣く)」
樹「……『……僕以外全員泥酔してるパターンだこれ……』
……あの…………夜も遅いし、そろそろ僕たち帰ります……」
(翌朝)
柊「樹さん、おはようございます。
(テーブルの上に安産御守を見つける)……あれ、どうしたんですかこれ?誰かご出産の予定ですか?」
樹「…………『敢えて言えば君だ……』」
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