間章3. エメの成長

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「だ、大丈夫ですか奥様」  ノエは、いた。  部屋のほとんど中央で、多くの子竜たちに押し寄せられて尻餅をついている。その腕の中にはプリーエルがいるが、プリーエルは楽しそうにきゅっきゅと鳴いていた。他の子竜たちも一様に楽しそうに、ノエの元に集まっている。  私に気付いた近くの女性竜が、困ったように笑いながら頭を下げる。 「申し訳ありません。なぜだかみんな、奥様に遊んでもらいたがっていて……」 「あ、ああ、そういうことですか」 「ずるーい! ぼくも遊ぶ!」  私の腕の中から飛び降りたエメは、ノエの元へと駆けていく。その声でノエはこちらに気付いたらしく、相変わらず美しい、花の咲くような笑みを見せた。  しかしそれも一瞬で、真正面から突撃してきた子竜に負けて、ノエは声を上げながら後ろに倒れた。そうなるともう元気の有り余る子どもたちの格好の餌食で、立ち上がれなくなってしまったのを、エメが必死で救出するという、 「ぼくのママ! ママとっちゃダメー!」 『――――』 「ま、まー!」  非常に微笑ましい光景が見られた。     
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