間章1. まさか、まさかの

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 お腹を触っても分かる、こんな大きさのものを俺が持つ排出器官からそのまま自力で出そうなんて狂気の沙汰だ。  方法は、ただ一つ。  ――原初の森に戻り、もう一度儀式をする。  これにはロワが猛反対をした。俺は運よく生き残っただけであり、もう一度あの儀式をして、今度こそ死ぬ可能性は大いにある。そんな危険なことはさせられないと顔を蒼褪めさせて言ってくれた。俺だって、あの儀式をもう一度するのは気が引ける。ただ苦しかった思い出だけがあるのだ。  しかし。 「……この子を産むには、それしかないんですよね」 「は、はい……。もう一度儀式を、というよりは、儀式と同じ方法で、ということになりますから……今ノエさまのお腹にいらっしゃるお子様が〝継ぎの竜〟になることはないかと思われますが……」  俺はロワを振り返る。俺の隣に座るロワは眉根を寄せて唸っている。俺にはぼんやりとした記憶しかないのだが、きっとロワは儀式を一から十まで見ていたのだろう。叫んだ記憶があるような気もするし、傍から見れば壮絶なものだったに違いない。ククやサンから何度も「あなたさまが生き残られたのは奇跡で御座います」と興奮気味に離されたこともある。 しかし、これしか方法がないのなら。  持って来たメッセージカードを捲り、言葉を示す。  「俺」「大丈夫」「やる」。     
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