間章1. まさか、まさかの

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「一週間もかからないそうだよ。終わったら、なるべく早く帰ってくるからね」 「うん!」  心苦しいが、エメには嘘を言ってある。「もしかしたら死ぬかもしれない儀式を今からやってくる」なんて言って不安がらせるのはあまりにも酷だし、連れて行くなんてもってのほか。  ヘビの国というところは治療技術が発展したところらしいが、それは大概が魔法による治癒が専門で、残念ながら開腹手術などの技術はないらしかった。  竜の国を離れるから、その間は電話もできない。それでもエメは元気よく頷いて、俺のお腹を慎重にぺたぺたと触った。 「赤ちゃん、いるの?」 「卵の中だけどね」 「弟? 妹?」 「まだ分からないな。エメはどっちがいい?」 「うーん、弟!」 「どうして?」 「だって、男の子の方が、ちゃんとママを守れるでしょ? 王子さまは、いっつも男の子だったもん!」  俺の後ろでずっと聞いていたロワが声を立てて笑った。なるほど、つまりエメの中ではまだ俺は「お姫様」なのか。ロワに抱き上げられてきゅっきゅと喜ぶエメは、やはりロワと比べるとまだまだ子どもで微笑ましい。ロワと、エメが成長すれば、それからこのお腹の中の子が男の子なら、俺は三人の王子さまに守られるわけだ。なんだか可笑しくて、俺も笑ってしまった。     
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