11. 希望の海、旅の終わり

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11. 希望の海、旅の終わり

 それから数日は、犬の国を観光した。ロワが連れて来てくれたホテルは随分と高級なところで、警備員の姿をよく見かけた。ロワが家族を心配してここに決めてくれたのだろうと分かる。こういった言葉にしない気遣いが、いつも嬉しい。  一晩寝て、美味しい朝ご飯を食べたエメもプリーエルもすっかり元気を取り戻してくれた。二人とも男の子だから、ホテルの警備員や、街中の警察官の制服が気になるようだ。かっちりとした青い制服に身を包んだ犬たちを興味津々に見上げ、そして見上げられる彼らもそういった視線には慣れているようで、仕事の邪魔にならない程度にお話もさせてもらえた。竜の国の王都では、あまり警察官という存在は見ない。家が閑静な住宅街にあって、俺もあまり街中に出ないからだろうと思う。子どもたちも、寄宿学校にいては見る機会も少ないだろう。  警察はみんなを守るお仕事だよ、と教えてもらったプリーエルは目を輝かせ、大きくなったら警察官になると張り切っていた。微笑ましい子どもの夢。 「つよくなって、こんどはちゃんと、ママをまもるからね!」 「ふふ、ありがとうプリーエル。それじゃあ、パパとエメが王子さまで、プリーエルは警察官なの?」     
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