12. あなたと生きる ※

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12. あなたと生きる ※

 修学旅行から帰った俺たちは、エメとプリーエルの休暇が終わるまで、のんびり過ごす予定でいた。特に急ぎの用もないし、みんな長旅で疲れただろうから、しっかり体を休めるつもりで。  気にかかったのは、ロワの様子だった。  旅行から帰ってから妙にそわそわとしている。ロワは旅行から帰って二日後にはもう普通に出勤をしていたのだが、帰りが少し遅くなることが増えた。その時はちゃんと朝に「今日」「帰る」「遅い」、とカードで伝えてくれるから、冷たくなってもちゃんと美味しく食べられる夕飯を選んで作ったりはしていたのだが。  よそよそしい、というのは何か違う。何か、隠しているような。  エメとプリーエルに、それとなく何か聞いてくるようにと頼んでみたりもした。すると後日、二人はにこにこと笑いながら「大丈夫だった!」と声を揃えて報告してくれた。パパは何か悩んだりしていなかったか、疲れたり、気に入らないことがあるんじゃないか、そう確認もしたが、二人からの返答は「大丈夫」の一点張り。  子どもたちにそう言われてしまっては、俺もそれ以上は踏み込めない。何か問題があれば言ってくれるだろう、そうロワを信頼して、俺は黙っていた。     
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