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間章3. エメの成長
俺はロワと、抱っこ紐を使ってプリーエルを連れて、エメの通う学校を訪れた。
正門の前に置かれた看板は俺には読めないが、それは今日が初等部の発表会であることを示しているのだと、ロワが教えてくれた。周囲にはちらほらと保護者であろう竜たちがいる。数が少ないのは、知らされた開演時間までまだ間があるからだ。俺たちは早めに最前列を確保するために、――そしてプリーエルを特設の託児所に預けるために、早く来ている。
案内に従って託児所に入ると、若い女性の竜がぺこりと頭を下げてくれた。俺たちが来ることは事前に伝えてある。俺が人間であることにも嫌な顔一つせず、ロワに対して、今日は大切なお子さんをお預かりさせていただきます、と挨拶をしたらしい。俺とロワも揃って「こちらこそよろしくお願いします」と頭を下げた。
プリーエルを、彼女に託す。
「プリーエル、いい子で待っててね」
「まーま……」
「二時間くらいで、ママ戻ってくるから。お姉さんと遊んでて?」
プリーエルはきゅっと鳴くと、自分の爪を咥えて、大人しくなった。
賢い子だ。最後にもう一度頭を下げて、俺とロワは会場へと移動した。
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