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西暦xxxx年、4月。
高校の入学式終了後ーー。
私は、事故にあったーーー。
聞こえる、友達の子達が私を呼ぶ声が、誰かが叫んでいる声が。
救急隊の人たちが、大丈夫ですか?と声をかけているのが分かった。
しばらくたつと、私は病院にいた。そこには親が涙を流している気がした。でも、確かに泣いてる声が聞こえる。それなのに、それも分かっているのに、何故私は、私の視界は真っ暗なのだろうか。
声しか聞こえない、まるで、視力を失った子のように。
「…………私、は……」
そのとき、私は目を覚ました。
「………………っえ、ここは…?」
辺りを見回す、知らない景色、高い建物、コンクリートの道路、車、何一つなかった。あるのは小さな小道と麦の畑のような風景。
「…お目覚めですか?お嬢さん」
聞き慣れない声が耳に入った。私は思わず振り返る。そこには私より小さな男の子、身長は150センチほど、小学生だろうか、だが、何故だか不思議な雰囲気をまとっていた。明るい色の服に、左右で色が違う目、青と赤の目が綺麗な少年だった。
「お嬢さん、見ない顔だね。どこから来たの?」
「っえ?私、は…あの」
そのとき、少年は思い出したかのように手を叩いた。
「そうだ、まずは自己紹介だね。僕の名前はノア。気軽にノアって呼んでね」
ニコッと笑った顔がとっても素直な感じで私は自然と安心していた。
私も名乗らねばと口を開く。
「私は、蓮奈……伊織蓮奈(いおり はずな)よ。」
蓮奈は名を名乗ると、もう一度辺りを見回した。
ここはっと、場所を尋ねるとノアのニヤッと笑う顔が映った。
「…ここは“脳内ワールド”死人が訪れる幻の世界だよ。」
突然空気が変わった。蓮奈は脳内ワールドという空間を疑った。
「疑うのも無理はないよ。だって死人が訪れる所だもん。逆に死人以外はこれない。」
「待って!それじゃあ私は………」
蓮奈は現実の世界で死んでしまったのではないかと思った。
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