プロローグ

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脳内ワールドは死人が訪れる幻の世界。だけど、この世界を構成しているのは死人ではなく“生きている人間”なのだ。 それは全て、彼らの理想や妄想、簡単に言えば“都市伝説”。 彼らが思えばその場に現れる。造ろうと思えばそこに闘技場も、ましてやドラゴンだって現れるだろう。 死人たちはそんな彼らにまるで“生かさせれている”ようだった。 そして、死人の彼らは脳内ワールドでは自殺、他殺、射殺など、あらゆる殺人はできない。この世界では死ぬことができない。 そのシステムを作ったのは人間ではなく、とある一人の神様の仕業だった。 その名は“ノーム”。 彼は精神の神と言われている。彼はありとあらゆる精神を操る。操れる精神には限界があるが、操れない精神は何一つない。 植物から人間、この世界の都市伝説として出てきた架空の生き物までも思いのまま。 ノームの事は詳しくは知らされていない。いや、解明されていないと言っても過言ではない。この脳内ワールドの住民でさえ、ノーム事を調べても何も出てはこない。それに、どんな姿で、性別も容姿も何もかも不明。 だが、決定的に解明されている事がひとつだけある。 ノームが脳内ワールドを作ったということだ。 そしてノームはこの世界をより面白くするために沢山の理想や妄想を人間たちから取り入れた。それはやがてファンタジーの世界へと変わり果てたのだった。 「……と、言うわけで。蓮奈にはここのことを教えるね。この世界にはねー、戦いがあるの。」 「た、戦い?それって、ゲームとかでよくあるやつ?」 よく分かってるじゃんと言わんばかりに頷くノアに蓮奈は嫌な予感を察した。
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