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はたまた一息ついたビーナは再び蓮奈に近寄ってきた。
《では、もうひとつ。ご主人様に言わなければ》
と、言いながらビーナは蓮奈に1つの本を手渡した。ボロボロまでとは言わないが古い感じが強めの、分厚い本だった。
「ビーナ、これは?」
《これはですね、この世界の説明書のようなものです。ここに来た人は全員貰っているみたいですヨ》
一ページから見ると、脳内ワールドについての説明がどっさり、中には街や国の名前、通行証や地図までも入っていた。
「こ、こんなに沢山……ビーナ、私は今どこにいるの?」
《それについては問題ございません、本人の位置は地図の赤丸で示されています。ほら》
と、ビーナの指差す位置に小さな赤丸があった。それに便利なことに、本人がどっちを向いているかも明確だった。
《ここから一番近いのは……ここ、王都“レグナム”王国デスネ》
緑の線が面積を表していた。
「レグナム、もしかして、一番大きな国なんじゃ………」
《察しが宜しいですね?レグナム王国はこの脳内ワールド一の発展途上国でございます!ご覧ください》
ビーナはレグナム王国の拡大図をとり出し、様々な所を指差した。
剣と剣が交差したエンブレムはギルド。
家の形をしたエンブレムは宿屋。
盾や剣が混じったエンブレムは武器屋。
剣士の彫刻が刻まれたエンブレムは闘技場。
《ざっと、こんな感じです。あとは直接見てからで》
「あ、うん。ありがとうビーナ。」
一気に説明されて混乱する蓮奈は思わずため息をついた。
(それにしても、辺りに人っこ一人いない……)
地図をみると草原のど真ん中だった。
「ねぇ、ビーナ、この世界にはレベルとかあるの?」
レベルがあればレベル上げするためにここには人がいるはずと考えた蓮奈。が、
《レベルですか?それはマニアルにはありませんね。》
レベル性ではないことに半分安心した蓮奈はとにかく移動しようと足を前へ、レグナム王国の方へと進めた。
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