僕の優しい貴公子

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 僕はフフッと密やかな笑いを溢し、バレエダンサーのように片足をしなやかに上げ、軽やかにクルクルッと回った。  それから仰々しく右手を胸に当てて左手を後ろに回したまま軽くお辞儀をし、ロイヤルに向けて優美に笑みを浮かべる。  『あぁ、美しいよユーキ。   まるで銀幕の世界から現れたようだ……』  (ひざまず)いたままのロイヤルが、恍惚した表情で僕を見上げる。  彼を纏うオーラが、情欲の色へと濃く染められていく。  もっと見て。  もっと、熱い視線で……焦がすように、僕を芯奥から火照らせて。
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