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「ほら、もう門限ですよ」
玄関の扉が閉まると言う10時前になると車で来た松岡以外みんなかなり酔っぱらっていた。
ひょっとするとここで雑魚寝かと危惧したがちゃんと家族が迎えに駆けつけ、食べ物の皿や飲み物の瓶とともにみんなを引き取っていった。
鮮やかな連係プレーに目をみはる。すげえな、なんか。
「きょうはお疲れさまでした。ゆっくり休んでください」
最後に松岡が挨拶して、それまで賑やかだったせいでシンと静まり返ったロビーがさびしく物悲しい。片隅に置かれた自動販売機だけがやけに明るかった。
「やっぱり泊まりましょうか?」
からかうように言う松岡を睨みあげ、灯里はそっけなく言った。
「さっさと帰れ」
そして返事も聞かずに階段を駆け上がった。これ以上顔を合わせているのがいたたまれなくなったのだ。
下から「おやすみなさい」という声が聞こえて来たが、聞こえないふりをして部屋に戻った。
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