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その後も、美穂を移す度にその男が映り込んだ。
あの時は気づかなかったが、ビデオカメラに映る美穂の様子が徐々におかしくなっていった。
口元を手で覆ったかと思えば、頭を垂らし前後に揺れている。
かと思えば、そのまま眠ったように動かなくなった。
「美穂ちゃん、大丈夫?」
田中の声が聞こえた。
美穂はビデオカメラの方に少しだけ顔を傾け「わたし、帰る」と言って、外に出て行った。
「おい!勝手に帰るなよぉ」
という俺の声が聞こえる。
部屋を出て行く美穂の背中には、黒くもやもやとしたものがついていた。
そして、ビデオカメラの視点が部屋に中に戻ろうとした時、ドアガラスの向こうにあの男が映ったのだった。
「おい……、美穂について行ったって事か? あいつ、大丈夫かよ!」
「大丈夫だと思う。美穂は……」
「どういう事だよ……」
「まぁ、続き見てくれ」
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