4人が本棚に入れています
本棚に追加
次の映像では、俺のアパートの前だった。
この時、せっかく最後は俺の部屋で飲み明かそうと思っていたのに、田中以外は帰ってしまった事に少し拗ねていた。
葵もカラオケが終わるとすぐにタクシーで帰ってしまい、それを愚痴っている不機嫌な俺が映っていた。
田中は近所に住んでいるため、俺を自宅まで送ってくれた。
「ったく、みんな勝手に帰りやがってー。せっかく、部屋に酒とか買い込んだのによ」
「まぁ、仕方ないさ。俺も、もう帰る。最後に今日の主役。一言どうぞ」
「ま、こんな俺の為に、祝ってくれてありがとう!嬉しいよ!」
泥酔した自分の姿がこれほどまでに恥ずかしいのかと、ビデオカメラを通してわかった。
「この後なんだけど……」
モニターを見ながら、田中は眉をひそめて言った。
映像の中で、俺は田中に手を振りながらアパートの階段を上りはじめた。
すると、俺の後ろにあの中年の男が現れた。
映像を見た瞬間、俺はゾッとした。
男はビデオカメラの方を見つめながら、階段を上る俺の後をついていく。
そして、ビデオカメラはそのまま二階にある俺の部屋の前を映した。
俺がドアを開けてお気楽に田中に礼を言いながら手を振っていると、その中年の男はスーッと何のためらいものなく俺の部屋の中に入って行った。
その後、俺が部屋に入ると、映像はそこで終わった。
最初のコメントを投稿しよう!