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『さて、付いて来い。我の寝床兼住処に連れて行ってやろう』
フェンリルがゆっくりと立ち上がる
僕も立ち上がろうとすると、コテンとこけた
多分だけど、立てる様な気力がないのだろう
「優凛?立てないのか?」
「うん、力が上手く入らないの」
『仕方ないの』
フェンリルが僕の後ろに回ると、襟首を加えて持ち上げた
「みょっ!」
急に持ち上げられたせいで、びっくりし過ぎてジタバタと手足を動かした
『暴れるでない。連れて行ってやるから我慢しろ』
すごい間抜けな恰好でフェンリルに運ばれている
蒼乃くんは頑張ってフェンリルに付いて行っている
何かいろんなことがあって疲れたのか、僕は眠ってしまった
ーーーーーーーーーーーーーーー
『ユーリ、起きろユーリ。何時まで寝こけているつもりだ』
フェンリルのうるさい声で目が覚めた
「優凛、大丈夫?」
「ん~今のところ体調が悪くはないかな」
「そうか、なら大丈夫そうだな」
優しく蒼乃くんが撫でてくれる
『和んでいる所悪いが、これからどうするか決めるぞ』
「どうするって?」
『人間と共存するのか、それともこのまま此処で暮らすか。それをどちらか決めた方が良いだろう』
「人間と共存…あのクソ野郎も居るのかな?」
「勇者として召喚されたのなら、人間側に居るのじゃないのかな」
『勇者?そんなものはまだ召喚されておらんぞ』
召喚されていない?
でも確かにあの変態は召喚されたって言ってたはず…
「なら、鍛えて人間と共存する方向でいいか?」
『鍛える、か…。なら、我が鍛えてやろう』
「フェンリルが僕達を鍛えてくれるの?」
『無論我が鍛えてやろう。その分簡単にいかないぞ』
「覚悟は出来ている」
「うん、僕もできてるよ」
『そうか、ビシバシと鍛えてやるぞ』
ニヤリと器用に笑うフェンリルに、僕達は判断を誤ったかなと後悔してしまった
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