遺してくれたモノ

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「はい、ともくん。 お弁当よ。 今日も学校頑張ってね」 「いつもありがとう、母さん。 あ、今日学校でお金を集めるから二千円欲しいな」 「そうなの、はい」 「ありがとう。 じゃあ行ってきます」 「行ってらっしゃい」 ちょろいな。心の中で思った。 お金を集めるなんて嘘だ。ただ母さんの手料理を食べたくないだけだ。 母さんの手料理はお世辞にも美味しいとは言えない。 弁当だって全体的にバランスが悪いし見た目も悪い。卵焼きは焦げてて形もグチャグチャだ。 誰よりも早くに学校に行き、弁当の中身を捨てた。カモフラージュのために家から持ってきた紙屑を上から捨てると今朝貰ったお金でパンを買った。
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