黄色の夢

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 もしも、私が私でなければ。  もしも、彼が彼でなければ。  もしも、彼が本当は私を好きだとしたら。  女学校の帰り道、お母様のお小言の最中、夢と(うつつ)を行ったり来たりしている時、そんなことを考える。  そして、ほんの少しだけ夢を見て、現実にかえり落胆する。  私はやっぱり私で、彼は彼でしかなく、彼が私を好きだということはないのだから。
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