朱の記憶 《R18》

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「……ねぇ、進藤様」  進藤の頬へと指を滑らせた。  進藤の頬はまだ温かい。 「どうしてあの時、私を殺してくれなかったの……?」  指を口元へ滑らせると、血で指が赤く濡れる。  進藤は目を閉じていて、この口もとの血さえなければ、ただ眠っているだけのようにも見える。 「ねぇ、どうして……っ」  握り締めた拳で叩き、額を押し付けた胸も、まだ温かい。 「どうして殺してくれなかったの……! 私も……私も、父様たちと一緒に死にたかった! こんなところに来たくなかった! 一人になんてなりたくなかった……!」  嫌だ。  嫌だ。  一人は、嫌だ。  痛いのも。苦しいのも。色んな男に抱かれるのも。人間として扱われないのも。  本当は、ずっとずっと嫌だった。 「どうして……どうして、殺してくれなかったの……」
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