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ペダルを漕ぐ度にキィキィと鳴る自転車がやって来る。
雨の日、ブレーキをかけると悲鳴をあげるタイヤと似た音。
その音に劣らず大きなボリュームで、その運転手は歌うのだ。
流行りの歌か、昔の歌か。知らない歌であるのは確か。その声は、少女のようだ。
でも、こんな夜中に子供が外を出歩くか?
そんなに声を張り上げて、いつか苦情が来るぞ。
彼女がこの道を通り始めたは頃はそんなことを思っていたが、最近はどうでもよくなり始めていた。
その代わり、彼女個人のことが気になり始めた。
そっと窓を開ける。
彼女はもう遠くに居て、歌声も聞こえなかった。
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