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理想の男はイケメンだとダレが決めた?
絵に描いたような理想の男が現れた。
短髪黒髪で、ちょっとぽっちゃり、マックの店員だが、目からはやる気が迸っている。きっと目的に向かって下積み中に違いない。それでも、少し気弱そうな顔を覗かせる彼は、きっとドMだろう。そうに違いない。
(私の理想の妄想が頭からこぼれ落ちて、この世界で具現化されてしまったのかもしれない……)
まさか、そんな筈はないのだが、そう思ってしまいそうなほど、彼は理想像そのものだった。
しかし、今回はどうしても戸惑ってしまう。もしかしたら、付き合い始めた途端に痩せて、更に髪は肩まで伸ばして茶色に染めてしまうかもしれない。
前回と同じ様に……。
「お客様、どうかなさいましたか?」
「い、いいえ……何でもないんです」
いつもの調子が出ない。この時間にしては珍しく、客足が少なく、私の後には誰も並んでいない。話しかけるならば絶好のチャンスだ。こんなに理想通り、ピッタリな人にはこれまでに出会ったことがない。
しかし、食指が伸びきらない。伸びるには伸びるが、彼の魅惑的なたぷたぷ迄は届かない。
また、同じ事の繰り返し……この言葉が頭にこびりついて離れないのだ。
(どうした、アサミ……。いつもの肉食系はどこに行った? こんなチャンス滅多にないのに……)
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