柴田 和弥 の純情

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柴田 和弥 の純情

「やば今日寒みぃぃ~」  ふと、耳に飛び込んできた何処ゾの会話  ぁぁああそうなのだ…冬が来るのだ  冬が来たら春が来る…  春が来たら進路のあれやこれやで忙しくなり  あっという間に次の春には卒業…      思わず  廊下の向こうから歩いて来る白衣の科学教師に猛ダッシュでタックルをかまして  しがみ付く。 「先生!!俺どうしたらいいと思いますか!」 「おい、柴田。痛いし、誤解されるだろ」 「誤解は凄く嫌だけど、俺!どーしたらいいのか全然っわかんないんス!!」 「痛い!柴田ちょっと落ち着けまた発作か!」  昼休み真っ最中。ざわつく廊下、そういや人目も数多 「どうどう、まあ~…十分悩みたまえ少年。要は、自分がどうしたいか、だ」  高笑いしながら颯爽と去っていく後姿が憎い。  どうしたいかだって?  そりゃ…  そりゃっ…  どうしたいんだろう  あの…骨ばっているようでいて、薄っすらと筋肉が隆起し…  これまた抜群な丁度良さの肉付きで、ひらぺったくて滑らかな胸に頬擦りしたい…  だけ…じゃないが  もちろん俺の夜的オカズで脳裏に現れるミツルの姿は俺の下で喘いでたりする  つまり、じゃあヤリたいだけか?…そういうコトか?…とか  そうでもない  有り得ない事だが  俺の望みは…いや本当に有り得ない事なんだけど…  両思い  …全く有り得ないし、想像も出来ない…想像するだけ空しい…  言葉にするのも、ちょっとでも想像するのも後ろめたいし身の丈知らずだ。  何しろもう前提となった関係が…つまり  純粋に親友だと思われているミツルが  もし俺の気持ちを知ったら…拒絶するだろう。  あるある漫画とかで読んだことある。幼馴染とかでわりとあるパターンだ。  俺が傷付くだけならまだいい、  それは同時にミツルをも傷付けるだろう。  純粋な友情の裏に邪まな気持ちを抱く俺は下劣で…  最低で  最悪だ。  いっそ、このどうにもならない気持ちを  どうにもならんくていいと思い切ってしまえたら、  どんなにかいいだろうに…。
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