柴田 和弥 の脳内

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何の進歩も無いまま既に日常化してしまったこのやりとりに、もう周囲も飽きただろう。 俺だってどうにかしたい。 良くあるラブコメよのうで非常に不本意だ。 勿論これだけに俺の苦悩は止まらない。 俺と奴が親友だという…俺にとって嬉しいのだか… 悩ましいのだかわかない立ち位置ゆえ、 もちろん柔軟体操など体を寄せる授業や、 満員電車など…ほぼ地獄での拷問に等しい。 通常の会話距離だけでも動悸息切れになる危険性を孕んでいるというのに、 至近距離&触れ合いから逃れられない状況になってしまった場合なんてもう最悪だ。 早まる鼓動で心臓的にも死にそうになるが、 同時に下半身に起こった生理的現象が、 もし奴に知れてしまったら…!! 僅か5分から10分の触れ合いが 俺を生死の間際に追い込むのだから、 たまったもんじゃない! そんなわけで、俺はしょっちゅう鼻血を出していた。 カバンには既にいいサイズに紙縒った、 鼻血栓がいくつもストックされている。 奴の悩殺攻撃が何時何時きても良いように準備対策は万端だ。 そんなエロ恋愛コメディにあらがちな展開が、しょっちゅうあるわけ無いと思われるだろう。 恐ろしいことに、しょっちゅうあるのだ。 すっかり癖になった鼻血のお陰で、 鼻の中の血管は指を入れるだけで簡単に出血できる有様になっていた。     
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