柴田 和弥 の脳内

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そんな特技、いらんのに。 本当に堪ったもんじゃない。 貯まりに貯まって溢れる欲望、 思春期の男児が堪りかねてやることは一つ… 『堪らん』が『堪りまくる』と満たされん欲求不満を発散すべく、 俺の部屋に激しい鼻息が充満するのだ。 心の中で名前を叫びまくり、達する。 で、後は空しさと、どうしようもない寂しさと、 いつ嗅いでも、日々嗅いでもクサイ精子だけが残る。 全く、それもこれも奴が悪いのだ。 フェロモンが常にその白い肌から垂れ流されているのが悪いのだ。 強制的に、歯向かうこともできずに色香に惑うのは極自然の成り行きで、 常に一緒というポジションな俺だから、そのフェロモンに犯されっぱなし。 この境遇を羨ましいと言う奴らも居るだろう。 何せ男子校だ。 いかにも、辛い毎日を過ごす俺とて、 いるかどうかもわからない神に感謝せねばならないだろう。 釣り合いから考えても分不相応だ。 奴と親友であるということは、まさに奇跡でしかない。 全校生徒の憧れの的。 フェロモン垂れ流しな麗しの王子と この俺がなぜ親友なれたのか? それを説明するには、まず高校入学当時にまで話がさかのぼる…。
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