46人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふふふ、大丈夫ならいいよ。俺は大倉 光。よろしくな?」
『よろしくな』の最後の『な?』は、
完全に少女漫画の王子様のキメ顔だった。
ページの半分くらいのでかいコマ割りで、
花と輝きを纏った王子がヒロインをオトすために優しく微笑むシーンだ。
それは世紀の一瞬。
俺の中で革命が起きた。
男だとわかってはいるのに…
十分わかってはいるのに…
勿論わかってはいるん…だけど!
少女漫画のヒロインよろしく、俺はいとも簡単に問答無用でノックアウトされた。
思わず体が軽く仰け反った俺。
鼻血を垂らしながら(自分では全く気付いていなかった)
俺はその微笑みを見ただけで恋に落ちた。
「柴田…和弥」
高鳴りすぎる胸を押さえて何とか自分の名前を述べる。
「…ブッ!…アンタ…ククッ…は、鼻血出てるよ」
「え、あ…」
「だははははは!!いやごめん!鼻血なんて小学校以来見てな…いやわりい…ぷ…」
え!酷!
こういう時は笑わないのが優しさだろうが!
おい、全然我慢できでないぞ!
完全に目元笑ってるの見えてるからなー!!
いや、しかし今はそれどころじゃないか。
この鼻血をどうにかせねば!!
と、あわあわと焦りまくる俺。
最初のコメントを投稿しよう!