屋上に一人

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 私は、弱い人間だ。  時折考えることがある、私はどうして生きているのだろうか?  生きるのは辛い。そんなこと、ずっと昔から知っているはずなのに、私は今も見えない何かに雁字搦めにされ、この世界に束縛されている。  別に、死にたいわけではない。  確かに将来の夢とか、一生懸命になれる目標とか、そんな高尚なものは持ち合わせていなかった。でも、私を誘う名前の無い漠然とした流れに身を委ねていれば、何となくは生きていけるだろう。だけど、そんな人生に果たして意味はあるのだろうか?  この広大な世界において、私はどうしようもなく希薄な存在だ。  きっと、こんなことを考えてしまう私は、他人よりも脆く弱い。  私は空虚な砂人形。  かろうじて人の形をとってはいるけど、そよ風が吹いただけで、あっさりと崩れてしまう。  ならば、別に人生の幕を閉じてしまってもいいだろう。  ひっそりと、宙に溶けてゆくように、私は最期をむかえよう。
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