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とある山奥に、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。
「それじゃ、ばあさん行ってくるよ」
「あい。近頃は山で……て、て?ち?……てら、てらの………………てらのさんが出るらしいからお気をつけて」
「誰じゃい、それは。チィラノサウルスじゃろが!そんなもんな……」
おじいさんは背中にしょった網篭を地面に下ろし、着物の袖に手を入れごそごそし、「ふんっ!」としなやからな筋肉をまとった逞しい二の腕をおばあさんに突き出しました。
りんっ
りんりんりん
「ワシにはこの"熊避け"の鈴があるんじゃ!これさえあればワシは無敵じゃ!!」
りんりんりん
りんりんりん
おじいさんが「ふんっ!ふんっ!」と意気込んで鈴を鳴らすと、鈴の軽やかな音色が響いていましたが、おじいさんの腰辺りから「ゴキィッ!」と鈍い音がしました。
「ふぐぅわぁ!!こ、腰がぁぁぁ」
「もう!バカな事してないで芝刈り行ってきて下さいな」
おじいさんはおばあさんに急かされて、腰を擦りながら山へ芝刈りに、おばあさんはため息をつきながらおじいさんを見送り、川へ洗濯をしに行こうとしていると……。
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