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「ほれ!ちょっと口開けちょれよ」
旅人がめんどくさそうに赤ん坊に近付きしゃがみこんで取り押さえようとしました。
「だぁ!」
「ぎゃあっ!?目がぁ!目がぁ!!」
「キャッキャッ」
すると危険を感じたのか、はたまたたんなる好奇心からか、赤ん坊は自身の口の中を覗きこむ旅人の目を両手の人差し指で遠慮なく刺しました。
「キャッキャッ、あーうー!」
両手で両目を覆い、地面でのたうち回る旅人を見て赤ん坊は大喜びし、両手の人差し指を旅人に向け催促をしています。
「こんのババ糞ガキ!!」
「ばあーうー!」
旅人が『ババアな糞ガキ』という意味で『ババ糞ガキ』と怒鳴ると、赤ん坊は不機嫌そうにぶーたれました。
「オラッ!大人しくしちょれや!」
───とはいえ所詮は赤子。
旅人が抑えつけるにはあまりにも力の差は歴然です。
赤ん坊の上に跨がった旅人が口を抉じ開けようと顎を掴んだ瞬間……。
「触るな。」
「……え、」
「触んじゃねーよ」
「……え、あの……すいません」
下から旅人を睨め付け、ドスの効かせた声がおばあさんから聞こえ、旅人は怯みかけました。
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