1章 宿命の再会

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1章 宿命の再会

 黄金の龍が舞う玉座に腰掛けた老皇帝が、御前で平伏する商人と、彼が持参した世にも珍しい〈献上品〉を見つめてくる。  その〈献上品〉である蒼呀(そうが)は、名前の由来となった青い瞳でじっと玉座を見つめた。相手もまた、皺深い眦をいっそう深めて高みから蒼呀を眺めやる。 まなざしからすれば、珍奇な献上品など見飽きているだろう皇帝でも、興味は持ってくれているらしい。よし、これならば上手いこと第一の関門を突破できそうだ。 「……それで()とやら、朕のために持参して来たというのは、その白虎か?」 「左様でございます」  蒼呀の横で膝を突いている男が、いかにも商人らしい愛想のいい表情を作って口を開く。 「数年前、南方の深山で、親虎からはぐれていたところを捕獲いたしましたものです。白虎は神獣、皇帝陛下にご献上する動物といたしましては、これ以上ふさわしいものは存在しないだろうと、僭越ながらはるばる持参した次第でございます。……さあ、さっそくです。檻から出してお目にかけましょう」  皇帝の左右を守る衛士の矛を握る手に、ぐっと力が入る。皇帝は少し考え、李に問うた。 「相手は猛獣ぞ。危険なことはないのか?」 「ご心配には及びません。わたくしは、この白虎が膝に乗るくらいの大きさの頃から乳を与え、手ずから肉をやって世話してまいりました。ですから、人には慣れておるのでございます」  事前に打ち合わせていた通り、李は堂々と胸を張って説明する。 「ご心配もごもっともですが、どうぞご安心ください。この虎が人間を噛むことなど、天地がひっくり返ろうともあり得ないことでございます。ほれ、この通り」
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