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風は風 そよ風だろうと、春風だろうと、 かなしいこころに、風は、風。 夢を見ているおんなより きっと男の心に吹きすさぶ 孤独の風がピウと鳴く それでよかった それでよかった 雨が降りそな黒雲の下 歩くばかりの、おれでよかった 変わっちまったのはいつだった? それでも歩くばかりしか、おれにはできないのだけれど おんなは言うのだ、夢みるふりで ーあなた、おとなになったらどう? そうですね。すっかり、わたしも、おとなです。 言えない!言えない!そんなことは! すっかり大人になってはいるが、 すっかり大人になろうとしたが、 雨が降りそな黒雲の下、 歩いているのが、おれだった! どんなに優しいことばでも、 かなしいこころに、 かなしいこころに…… けれどもどうか、ひとつだけ あすは雨がほしいのです 金の霧に包まれて、私が眠っていられるように
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