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風
風は風
そよ風だろうと、春風だろうと、
かなしいこころに、風は、風。
夢を見ているおんなより
きっと男の心に吹きすさぶ
孤独の風がピウと鳴く
それでよかった
それでよかった
雨が降りそな黒雲の下
歩くばかりの、おれでよかった
変わっちまったのはいつだった?
それでも歩くばかりしか、おれにはできないのだけれど
おんなは言うのだ、夢みるふりで
ーあなた、おとなになったらどう?
そうですね。すっかり、わたしも、おとなです。
言えない!言えない!そんなことは!
すっかり大人になってはいるが、
すっかり大人になろうとしたが、
雨が降りそな黒雲の下、
歩いているのが、おれだった!
どんなに優しいことばでも、
かなしいこころに、
かなしいこころに……
けれどもどうか、ひとつだけ
あすは雨がほしいのです
金の霧に包まれて、私が眠っていられるように
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