華乃の憂鬱

4/8
948人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
業を煮やしたのか、龍成はわたしを強引に引きずり建物の裏へ。 外壁と龍成に挟まれ、わたしは逃げ場をなくされた。 「どういう了見だこら」 「もう無理」 「なにが」 「結婚」 「は?」 「だから、結婚!」 「意味わかんねぇよ。結婚しないってこと?」 「うん」 「はあ?!この間結納も済ませたじゃねぇか!これから結婚式の打ち合わせだってのに!」 「それはそうだけど、結納の時だってきつかったの。龍成のお父さんもお母さんもわたしを見る目が怖いし」 顔は表面上笑ってたけど、目が笑ってなかった。絶対わたしのことを納得してないよ。 「元からああいう目つきなんだよ」 「いつかは同居しなきゃいけないでしょ」 「しなくていいっての」 「龍成のお母さんみたく社長夫人で社長補佐なんてできないし」 「んなことしなくていいって言っただろ。お前は好きなようにしてたらいいんだよ」
/472ページ

最初のコメントを投稿しよう!