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「龍成がそう言ったって神田家の方々は納得しないでしょ。神田家の親戚や会社関係への婚約の挨拶だって龍成が無理やりなくしたけど、印象悪いでしょ」
「お前が嫌がると思ってなくしたんだろ」
「それはわかるしわたしも助かったけど、その分わたしの印象って悪くなるでしょ？」
「ならないって。うまく言っといたし、俺だって面倒だったんだから」
なんか伝わってないな。そういう問題じゃないんだよ。
「そういうのを気にしなきゃいけない立場っていうのも、わたしには重荷すぎて疲れる。これからやっていく自信ない」
「今さらだろ」
「今さらもなにも…」
初めは何の気なしに龍成と結婚できることが嬉しかったけど、よくよく考えたら別に結婚しなくたって一緒にいられたらわたしは充分なんだよ。
「神田家の問題は俺が片づける。できるだけ面倒にならないように、お前に負担がかからないようにする。だから華乃は余計なこと気にしなくていいんだよ」
「わたしはたまにしか合わない時間を結婚への準備とかで終わっちゃうのが嫌なの。今は婚約者だけど結婚はまだしてないし、恋人気分を楽しみたい」
龍成はわたしの初めての恋人。それなのに恋人らしいことなんて何にもできてない。
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