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翌日、僕は美術室にいた。
藍原さんには作戦実行の日まで保健室で勉強をしてもらうことにした。
クラスにいるよりはまだマシだろう。
僕に出来るのは絵を描くことだけ。
だから僕は、絵で気持ちを伝えることにした。
藍原さんの気持ちをクラスの皆に絵で伝えよう。
白いキャンバスに絵を描く。
頭に思い描いた絵をそのままに。
正直、上手く行くかどうか不安だ。
けどやるしかない。
藍原さんのために。
彼女の笑顔を取り戻すために。
絵を描き初めてから3日。
「…やっと出来た。」
ついに絵が完成した。
頭の中で思い描いた絵を、キャンバスに描いて、修正を繰り返してきた。
頭の中は絵のことばかり考えていた。
授業中に考えすぎて、先生に叱られた。
ご飯を食べているときも考えすぎて、家族に心配された。
この3日間で周りの人に変な目で見られたことは間違いないだろう。
しかし、それでも良い。
全ては作戦を成功させるためにやってきたことだ。
この作戦が上手くいけば僕はそれで良い。
後は実行の日を待つだけ。
きっと上手くいく。
確証はないが、僕は自信があった。
僕は密かな願いを込めて、作品に布をかけた。
作戦が開始されるその日まで。
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