エピローグから始まるプロローグ

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 良く晴れた昼下がりに球団本社近くの公園のベンチに座り、買ったばかりの熱いコーヒーを片手に空を眺めていた。空は今も昔も変わらないな……変わったのは俺ぐらいか……  缶を開けてコーヒーを一口、口に含んだ。コーヒーは昔ほど苦くなかった。最初、このコーヒーを飲んだのはドラフト指名されて契約する前にここで緊張をほぐすためにコーヒーを飲んだ時だった。あの時はとても苦くて無理して一気飲みしたのを覚えてる。おかげで緊張は飛んだんだけど舌が火傷してまともにコミュニケーション出来なかったけど……  でも、今は緊張していない。今回球団に呼び出されたのは戦力外通告をするためだ。とうとう俺にもこの日がやってきたか……一昨年からずっと考えていたけど、いざ戦力外だと告げられるとなると急に現実に引き戻される。ここ数年はまるで夢の中にでもいたかのような充実感だったから、とても残念でならなかった……でも、もう覚悟は出来ている。進むべき道はもう昔から分かっていたから……    
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