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ジィは巨大な森の前に立っている。
まだお昼前だというのに何故か夕方の気分になる。
枯れた大樹は100m以上ありそうで、見上げると恐怖感が湧き上げてくる。
ジィ「何なんだ?この森は。」
ジィは恐る恐る森に入っていった。
森の中は真っ暗でほとんど何も見えないが、枯れて白くなっている大樹は森の外の微かな光を反射して白光しているように見える。
10mくらい入ると人間や動物の骸骨が所々に散らばっている。
ジィ「森に嫌われる・・・。まさかな。誰かに殺されたんだろ。」
ドクターの言葉を思い出して恐くなってきた。
ジィ「いや、まだ10mくらいだし、出口の光も見えるから大丈夫だ。」
恐くないと自分に言い聞かせ、恐怖をこらえているようだ。
少し森の中で立っていると、突然全身に鳥肌が立った。
ジィ「うわぁ!なんたこれ?」
キュルキュルキュル
どこからともなく虫の鳴き声のような、隙間風のような音か聞こえる。
ジィ「なんだ?今の音?」
キュルキュル
ジィ「きっと枝が擦れた音だろ・・・。」
ブワァーーー
ガサガサガサ
強い風が吹きはじめた。
何故かさっきまでの恐怖感はなくなり、心地よさを感じるようになってきた。
だが鳥肌は治らない。
5分くらいで風は止み、その頃には鳥肌も恐怖感も無く何だか体が軽く感じるようになっていた。
ジィ「なんか不思議な森だな・・・。」
ジィはドクターの事が何となく少しだけ分かったような気がした。
ジィ「ホバーに乗れるようになったら、また来てみよ。」
森から出て家に帰ることにした。
森から出る瞬間。
キュルキュルキュル
また奇妙な音が聞こえたが、ジィは気にせず歩いていった。
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