「オルゴールの音」と「メロンサイダーの上のさくらんぼ」と「信号機が変わる瞬間」

マスターがコーヒーを淹れるまで

出て行った上司を追おうとして慌てて立った彼は、ドタバタと音を立たせながら走り出した。

「あ、お客さん！」

私の呼びかけで一瞬戻り、私に千円札を渡した。

「ありがとうございます！！」

私からお釣りを受け取る前に、ドアのベルを盛大に鳴らして外へ飛び出した。

少し気になって窓から外を見た。

信号機が変わる瞬間、赤信号でも無理やり渡ろうとした彼女に彼は手を掴んで抱きしめた。
お、男気あるじゃん。

私はこっそりジョウロを持って、花に水をやるフリをして外に出た。

ドアを開けた瞬間、彼らの脇を大きなトラックが通った。