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……
翌晩、中田さんが教えてくれた。
「丹波さんは黒木の将来を考えて、
身を引こうとしたみたいだぞ」
「私の将来…?」
ああいう性格なので、
進んで言い訳はしなかったのだと。
でも、基本的に中田さんからの質問には
正直に答えるよう躾けられており。
強い口調で問い詰めたところ、
ポツリポツリと本音を話したそうだ。
>萌々香は純粋で可愛い女ですから、
>幸せになって欲しいと思ってます。
>俺みたいな中途半端な極道モンに
>寄り道させてしまいましたが、
>まだ若いんだからやり直せる。
>苦労して育ったんだから、
>堅気の男と普通に結婚すればいい。
>一瞬でしたが、
>いい夢を見させて貰いましたよ。
…うぐぐ。
タ~ン~バ~た~ん!!!!
感極まっている私に、
中田さんはニヤニヤ笑ってこう続けた。
「いや、そこまで聞くとカッコイイだろ。
渋い男の悲哀がたっぷりと滲み出てさ。
でも、竜騎という名の刺客を放ったら、
驚くほど簡単に正体を見せちゃってさ。
丹波さんって、
そういうところがなんか憎めないよな。
でもまあ、惚れた女が目の前で他の男に
乳を揉まれてたら、誰だって発狂するか。
一応、もしもの場合を考えて、
別室に大和も待機させてたんだぞ。
お前、後で全員に御礼言っとけよ」
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