20.[番外編 リ、リアリィ?~really?~]まあいい姫

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…その日は土曜で。 私の休みに合わせてくれたタンバたんと 共に『みどり荘』へと向かった。 本格的に引っ越しをするためである。 そろそろ肌寒くなってきたので、 冬用の衣服が必要になり、 そのついでに荷物も移すことにしたのだ。 生来の貧乏性のせいで 引っ越し業者に頼むことはせず、 地道に自分たちで運ぶことにした。 タンバたんが止めるのも聞かず、 輪ゴムだの、スーパーの袋だの、 使い古した歯ブラシだの。 そんなゴミみたいなものを必死で ダンボール箱に詰めていると、 アッという間に山積みとなり。 それを見上げながら、 彼はお得意の無表情で言うのだ。 「やっぱりトラックを借りてくるよ」 「ええっ?2往復とかじゃダメ?」 「萌々香、これだと4往復にはなるぞ。 それならトラックを借りた方が早い」 「うう、ご足労お掛けします」 でもね。 そもそもアナタのプライベートカーが 2シーターだから悪いと思うの。 外車でしかもオープンカーだなんて、 頑張ってもダンボール3箱程度しか 乗らないでしょ。 …などと言えるワケもなく。 その間に電話を何本か掛けた彼は、 組の関係者に借りることが出来たと言い。 数分後にはもう姿を消していた。
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