20.[番外編 リ、リアリィ?~really?~]まあいい姫

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ドロン って、忍者かッ?! そんな突っ込みを心の中でしながら 古新聞の記事を読む私。 もう色褪せてボロボロのソレには、 10年前の父の写真が掲載されており。 幼い頃に別れてから私の中の父の記憶は、 この写真の姿で止まっているのだ。 >川に溺れていた少女を救助! >感謝状を贈られた黒木拓郎さん。 まったく。 自分の娘は助けないのに、 他人の娘を助けるだなんて。 命懸けでギャグ人生を送ってるんだな、 あのヒモ親父。 ああ、もう、なんだか眠い。 一晩中タンバたんに可愛がられたせいで、 殆ど寝てないから。 10分間だけ寝ちゃおうかな。 よいしょっ。 運び出し易いようにと 玄関前はダンボールの山となっており。 その奥に横たわって私は目を閉じる。 …それはさながら、 毒リンゴを食べた白雪姫みたいに。 うとうと、うととと。 こんにちは、睡魔さん。 しばらく仲良くしましょうよ。 それはいいね!萌々香ちゃん。 ってハイ、もう一人芝居はヤメますね。 ゆらり。 気のせいだろうか。 閉じたマブタに浮かぶ影が見えた。 そう言えば鍵を開けたままだったな。 恐る恐るマブタを開けると、 影の正体らしき人物が じっと至近距離で私を見ていた。 そしてその人はこう言うのだ。 「萌々香!お父さんだよ~。 話があるから起きてくれ」
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