彼女 side

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「……お前、もしかして……鈍感?」 何だよそれ、喧嘩売ってんのか? 「知らない」 再び顔を背けて川面を睨む。 何だよ、鈍感って。 そりゃあ、あんたみたいな完璧人間から見たら私なんて虫みたいなもんかもしれないけど、鈍感とか本人目の前にして言うなっ。 不機嫌になったのが彼にも伝わったか。 今度は彼が謝る。 「ごめん、そうじゃなくって……。その、だからあれだって」 どれだよ。 いじける様に、両膝の中に顔を埋める。 もう知らない。 ほんと、どっか行け。
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