2:入隊式

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『───新入隊員352名の皆さん。不死者対策防衛機構・・・UDOにようこそ!』 仙石は新入隊員達に挨拶をすると、マイクから1歩下がり深々と頭を下げる。 新入隊員達はそれに倣ってその場で全員仙石に向かって頭を下げた。景も、周囲に合わせて頭を下げる。 『今日は君達にとっての晴れやかな舞台であり、今回の主役は君達だ。盛大に楽しんでくれたまえ!UDO第104期入隊式を、ここに開催する』 開会宣言がなされ、会場内は盛大な拍手で包まれる。 仙石は再びその拍手に感謝する様に深々と頭を下げ、自らの席へと戻っていった。 『局長ありがとうございました。ではでは、まず初めにUDO正隊員代表による挨拶です。UDOA級第2部隊隊長・・・一宮将貴さん!』 「はい」 後方から返事が聞こえ、1人の男性がゆっくりと壇上へと向かう。 赤黒い髪に、整った顔立ち、碧色の瞳の赤を基調とした隊服に身を包んだ男だった。更に腰には2丁の拳銃が収められている。 一宮の登場に、大人しくしていた新入隊員達は突然ざわざわとどよめき出す。 「キャーッ!一宮さーん!!」 「あれが一宮隊長か。」 「かっこいい・・・一宮様ぁ」 「あぁ・・・一宮様の奴隷になりたい・・・」 「いや、私なら一宮様の下僕に・・・!」 またまた今度は女性隊員達の一宮に対しての己の欲望や憧れ、そして一部の歪んだ性癖が景の耳に飛び込んできた。 当然一宮の耳にも様々な歓声が届いているはずであろうが、そんな状況でも一宮は堂々として壇上へと歩みを進めている。 「・・・すごいな、あの一宮って人はそんなに有名なのか?」 「景君知らないんですか!?有名なんてものじゃない・・・一宮隊長は超有名な人なんですから!」 景の疑問に、雪雄はテンションを上げて食い気味で答える。 今まで内向的な空気を醸し出していた雪雄の初めて見せたテンションの上がり様に、景は一瞬動揺した。
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