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UDO本部 1F 中央エントランス
「入隊式、すごかったですね」
「あぁ、あんなに盛り上がるものとは夢にも思わなかったな」
入隊式を終え、景と雪雄は一先ず中央エントランスへと移動した。
特段予定の無かった2人は、先ほどの入隊式の盛り上がりの余韻にどっぷり浸っている。
「あっ!一宮隊長よ!!」
「一宮さーん!お話聞かせてくださーい!」
「あっ、私も私もー!!」
「写真撮らせてください一宮様ぁ」
「あ、あはは・・・」
入隊式の余韻に浸っている最中、中央エントランスに壇上でスピーチを行ったA級隊員の一宮が現れる。
一宮の登場により、エントランス内にいた女性隊員は全員引力によって吸い寄せられるかのように一宮の周りへ集められた。
女性隊員達は会話や写真、サインなどを求めており、一宮はその要望の多さに少し動揺しながらも丁寧に応対している。
一宮の持つ人を引き寄せる魅力、そしてそれに応える為の対応力が途轍もないということを表している光景であろう。
「すごいな・・・」
「やっぱさすがですね、一宮隊長は」
「・・・雪雄は行かなくて良いのか?一宮は雪雄の憧れなんだろ?」
景は女性で人集りの出来ている一宮を指さしながら問う。
「い、いいですよ!確かに一宮隊長は憧れですけど・・・写真を撮りたいとか、サインを貰いたいとか、そういった憧れじゃないんです。何というか・・・容姿とかではなく、生き様とか強さに憧れているんですよ」
「そうか、まぁ雪雄があそこに群がっている女達と同じ様な憧れだったら俺が困るんだけどな」
「大丈夫ですよ!僕はあの人たちの様な『一宮信者』とかではないですから」
雪雄はそう言うとにっこり笑って見せた。
雪雄の様な、まともな感覚というものをあの群がる女性達にも持ってもらいたいものだと景は内心思った。
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