10人が本棚に入れています
本棚に追加
「先生・・・これで・・・!」
「あぁ・・・”完成”だ」
鬼堂の言葉を聞き、5人の医師達はマスク越しに笑みを浮かべる。小さくガッツポーズをする者。目を合わせて頷き合う者たち。この実験の成功を皆心から喜んでいた。
「ふふ・・・全て終わったか」
鬼堂はそう呟くと、薄暗い部屋の隅に目をやる。
部屋の隅には寝台が6台並べられていて、それぞれ人間が乗せられていた。20代の青年から白髪の少年の様な幼い子ども。幅広い年齢の人たちであった。
「・・・いずれ君たちは、僕らの夢の作品となるだろう・・・」
鬼堂は手術台に乗せられた少年の頬に手をやり、優しく撫でる。麻酔により静かに眠っている少年の顔を鬼堂は我が子の様に優しい目で見つめ、語りかける。
「その時になれば・・・僕達は──」
「・・・!!先生!!!」
「!?」
助手の1人が焦りを帯びた声で鬼堂を呼ぶ。助手の指差す先には部屋の隅に並べられた被験体の乗せられた6つの寝台。その一つに乗せられている小学生位の歳の男の子が仰向けでガタガタ体を震わせている。
「・・・うぅ・・・うぅぅっ・・・!!」
「これは・・・!」
男の子は小刻みに震え、呻き声をあげる。鬼堂はその状況を見て、ゆっくりと近づいていく。
「先生!危険です!離れましょう!!」
「待ちたまえ。そう慌てるんじゃない。彼は”成長”しようとしているんだ」
鬼堂はゆっくりと近づきながら、男の子の様子を確認する。他の5人の医師達は恐怖しているのか側を離れて見守っている。
最初のコメントを投稿しよう!